【繁盛店インタビュー】売上5倍のV字回復!新宿インバウンド市場を席巻する「すし山」「やくにく 徹」成功の裏側に迫る
編集部:
本日は、新宿という日本屈指の激戦区で、「北海寿司と天ぷら すし山」「和牛焼肉やくにく 徹」というインバウンド専門店を大ヒットさせている株式会社Brand Bank Companyの立壁(たちかべ)様にお話を伺います。今やトリップアドバイザーの「新宿人気店トップ20」の常連という両店ですが、その裏には壮大なV字回復のドラマがあったとか…?本日はその秘密を根掘り葉掘り聞かせてください!
本日は、新宿という日本屈指の激戦区で、「北海寿司と天ぷら すし山」「和牛焼肉やくにく 徹」というインバウンド専門店を大ヒットさせている株式会社Brand Bank Companyの立壁(たちかべ)様にお話を伺います。今やトリップアドバイザーの「新宿人気店トップ20」の常連という両店ですが、その裏には壮大なV字回復のドラマがあったとか…?本日はその秘密を根掘り葉掘り聞かせてください!
立壁様:
はい(笑)。よろしくお願いします。今でこそ好調ですが、立ち上げ当初は本当に大変でしたね。今だから笑って話せますけど。
はい(笑)。よろしくお願いします。今でこそ好調ですが、立ち上げ当初は本当に大変でしたね。今だから笑って話せますけど。
目次
【第一章】鳴かず飛ばずの立ち上げ期…「正直、何屋か分からなかった」という告白
編集部:
早速ですが、立ち上げ当初はかなり苦労されたと。一体、新宿のど真ん中で何が起きていたんですか?
早速ですが、立ち上げ当初はかなり苦労されたと。一体、新宿のど真ん中で何が起きていたんですか?
立壁様:
もともと両店とも、同じビルに入っていた「北の家族」や「ロックアップ」といった、良くも悪くも歴史のあるブランドを業態転換してリブランディングしたお店なんです。ただ、オープンしたのがアフターコロナに差し掛かった頃で、まだ客足も不安定。それに加えて、新宿の「空中階」という立地が想像以上に手強くて…。
もともと両店とも、同じビルに入っていた「北の家族」や「ロックアップ」といった、良くも悪くも歴史のあるブランドを業態転換してリブランディングしたお店なんです。ただ、オープンしたのがアフターコロナに差し掛かった頃で、まだ客足も不安定。それに加えて、新宿の「空中階」という立地が想像以上に手強くて…。
編集部:
空中階の呪いですね…。新宿は星の数ほどお店がありますし、フラッと入る場所ではないですもんね。
空中階の呪いですね…。新宿は星の数ほどお店がありますし、フラッと入る場所ではないですもんね。
立壁様:
おっしゃる通りです。歌舞伎町の方に人が流れてしまって、どうやってお客様を引っ張ってくるか、明確な答えがないままオープンしてしまった。「すし山」の前は、実は上下階でコンセプトを分けた「木堀(きぼり)」というお店だったんですが、これがまたフワッとしてまして(苦笑)。
おっしゃる通りです。歌舞伎町の方に人が流れてしまって、どうやってお客様を引っ張ってくるか、明確な答えがないままオープンしてしまった。「すし山」の前は、実は上下階でコンセプトを分けた「木堀(きぼり)」というお店だったんですが、これがまたフワッとしてまして(苦笑)。
編集部:
きぼり…ですか?
きぼり…ですか?
立壁様:
ええ。海鮮メインのフロアと、もう片方のフロアと。コンセプトが弱くて、お客様から見ても「で、結局ここは『何屋さん』なの?」という状態でした。日本人向けのインフルエンサーも試しましたが、昔ほどの爆発力はない。気づけば両店とも「鳴かず飛ばず」という言葉がピッタリな状態でした。
ええ。海鮮メインのフロアと、もう片方のフロアと。コンセプトが弱くて、お客様から見ても「で、結局ここは『何屋さん』なの?」という状態でした。日本人向けのインフルエンサーも試しましたが、昔ほどの爆発力はない。気づけば両店とも「鳴かず飛ばず」という言葉がピッタリな状態でした。
【第二章】売上5倍!起死回生の秘策は”インバウンドへの全振り”という覚悟
編集部:
聞いているだけで胃が痛くなります…。そこからどうやって今の月商2500万円を超えるモンスター店に…?何か劇的なきっかけがあったんですか?
聞いているだけで胃が痛くなります…。そこからどうやって今の月商2500万円を超えるモンスター店に…?何か劇的なきっかけがあったんですか?
立壁様:
一番の転機は、「もうインバウンドに完全に振り切ろう」という経営の意思決定です。これが全ての始まりでした。「やくにく 徹」で言えば、当時月の売上が500万円ほどまで落ち込んでいた。このまま家賃を払い続けたら…と考えると、血の気が引く状況です。その状況を打開できたのは、この意思決定があったからです。
一番の転機は、「もうインバウンドに完全に振り切ろう」という経営の意思決定です。これが全ての始まりでした。「やくにく 徹」で言えば、当時月の売上が500万円ほどまで落ち込んでいた。このまま家賃を払い続けたら…と考えると、血の気が引く状況です。その状況を打開できたのは、この意思決定があったからです。
編集部:
ご、5倍ですか!?言葉は簡単ですけど、”振り切る”って相当な覚悟がいりませんか?「日本人のお客様を捨てるのか」みたいな声はなかったんですか?
ご、5倍ですか!?言葉は簡単ですけど、”振り切る”って相当な覚悟がいりませんか?「日本人のお客様を捨てるのか」みたいな声はなかったんですか?
立壁様:
もちろん、ありました。でも、中途半端に日本人客も海外客も、と追うことが一番ダメだと考えたんです。二兎を追う者は一兎をも得ず、と。そこで、プロモーションの対象を海外に絞り込みました。コストはかかりますが、特に反応が良い台湾や韓国のインフルエンサーを起用したり、御社にお願いしているようなインバウンド向けのGoogleマップ広告に集中投下したり。いわば、一点突破の戦略です。
もちろん、ありました。でも、中途半端に日本人客も海外客も、と追うことが一番ダメだと考えたんです。二兎を追う者は一兎をも得ず、と。そこで、プロモーションの対象を海外に絞り込みました。コストはかかりますが、特に反応が良い台湾や韓国のインフルエンサーを起用したり、御社にお願いしているようなインバウンド向けのGoogleマップ広告に集中投下したり。いわば、一点突破の戦略です。
編集部:
なるほど!日本人向けも、ではなく、海外向け「だけ」に集中したと。リスクも大きい賭けですよね。
なるほど!日本人向けも、ではなく、海外向け「だけ」に集中したと。リスクも大きい賭けですよね。
立壁様:
はい。もしあの時、「そんなにお金は使えないな…」なんて中途半端なことをしていたら、今の爆発は間違いなくなかった。退路を断ったからこそ、道が開けたんです。もちろん、完全に日本人のお客様を無視したわけではありません。並行して食べログの口コミを地道に強化して3.5点を超えるように、といった施策も行いました。それがインバウンド施策と見事に噛み合って、「海外の観光客に人気らしいぞ」と日本のお客様も来てくれる、という最高の相乗効果を生んだ形ですね。
はい。もしあの時、「そんなにお金は使えないな…」なんて中途半端なことをしていたら、今の爆発は間違いなくなかった。退路を断ったからこそ、道が開けたんです。もちろん、完全に日本人のお客様を無視したわけではありません。並行して食べログの口コミを地道に強化して3.5点を超えるように、といった施策も行いました。それがインバウンド施策と見事に噛み合って、「海外の観光客に人気らしいぞ」と日本のお客様も来てくれる、という最高の相乗効果を生んだ形ですね。
【第三章】繁盛の方程式は”当たり前”の徹底と”口コミ”という名の自動集客装置
編集部:
大胆な広告戦略だけでなく、足元の評価もしっかり固めたわけですね。ただ、インバウンド客が増えると、今度はオペレーションが大変になるイメージですが…。
大胆な広告戦略だけでなく、足元の評価もしっかり固めたわけですね。ただ、インバウンド客が増えると、今度はオペレーションが大変になるイメージですが…。
立壁様:
まさにそこが次のポイントで、私たちが一番重視しているのは、「当たり前のことをちゃんとやる」に尽きるんです。結局、Googleなどの口コミで星1つや2つのマイナス評価が付くのって、実は「味がまずい」という根本的な理由よりも、「提供が遅い」「熱いはずの料理がぬるい」「スタッフの態度が悪い」といった、お客様の期待値を下回る基本的なことが多いんです。
まさにそこが次のポイントで、私たちが一番重視しているのは、「当たり前のことをちゃんとやる」に尽きるんです。結局、Googleなどの口コミで星1つや2つのマイナス評価が付くのって、実は「味がまずい」という根本的な理由よりも、「提供が遅い」「熱いはずの料理がぬるい」「スタッフの態度が悪い」といった、お客様の期待値を下回る基本的なことが多いんです。
編集部:
うわー、耳が痛い…。でも、めちゃくちゃよく分かります。美味しいはずの天ぷらが、ぬるかった時の悲しさといったらないですもんね。
うわー、耳が痛い…。でも、めちゃくちゃよく分かります。美味しいはずの天ぷらが、ぬるかった時の悲しさといったらないですもんね。
立壁様:
そうなんです。特に海外からわざわざ日本に来て、楽しみにしていた食事でそんな思いをさせてしまったら、二度と来てくれない。だから、奇をてらった特別なサービスに走るのではなく、「温かいものは温かく、冷たいものは新鮮なうちに」「間違えたら心から謝る」という、飲食店の本質的なクオリティを徹底して維持し続ける。それが何よりのサービスであり、最強の武器だと考えています。
そうなんです。特に海外からわざわざ日本に来て、楽しみにしていた食事でそんな思いをさせてしまったら、二度と来てくれない。だから、奇をてらった特別なサービスに走るのではなく、「温かいものは温かく、冷たいものは新鮮なうちに」「間違えたら心から謝る」という、飲食店の本質的なクオリティを徹底して維持し続ける。それが何よりのサービスであり、最強の武器だと考えています。
編集部:
その「当たり前」を徹底するのが一番難しいんですよね。その結果が、口コミに繋がると。
その「当たり前」を徹底するのが一番難しいんですよね。その結果が、口コミに繋がると。
立壁様:
その通りです。良い口コミは、もはや単なる「資産」ではなく、24時間365日働いてくれる「自動集客装置」です。私たちはその装置を増やすために、現場でGoogleマップやトリップアドバイザーへの口コミをお願いするポップを作成し、積極的にお声がけをしてもらっています。本部がこうしたマーケティング施策や媒体分析を行い、現場が最高のクオリティでお客様を迎える。この連携がうまく機能して、良いスパイラルが生まれているんだと思います。
その通りです。良い口コミは、もはや単なる「資産」ではなく、24時間365日働いてくれる「自動集客装置」です。私たちはその装置を増やすために、現場でGoogleマップやトリップアドバイザーへの口コミをお願いするポップを作成し、積極的にお声がけをしてもらっています。本部がこうしたマーケティング施策や媒体分析を行い、現場が最高のクオリティでお客様を迎える。この連携がうまく機能して、良いスパイラルが生まれているんだと思います。
【第四章】経営者が見るべき指標と、次の一手
編集部:
なるほど…。お話を伺っていると、立壁(たちかべ)様は現場のオペレーションというより、マーケターや経営者の視点で数字を冷静に分析されている印象です。
なるほど…。お話を伺っていると、立壁(たちかべ)様は現場のオペレーションというより、マーケターや経営者の視点で数字を冷静に分析されている印象です。
立壁様:
そうかもしれません。現場の細かな苦労は店長やスタッフに任せていますが、私は常に「どの媒体からの流入が多いか」「どんな口コミが書かれているか」「どの施策が売上に繋がったか」というデータを俯瞰して見ています。そして、そこから導き出した仮説を基に、次の戦略を立てる。例えば、今は「寿司」「焼肉」が強いですが、インバウンド市場で次に求められるものは何か、常にアンテナを張っています。
そうかもしれません。現場の細かな苦労は店長やスタッフに任せていますが、私は常に「どの媒体からの流入が多いか」「どんな口コミが書かれているか」「どの施策が売上に繋がったか」というデータを俯瞰して見ています。そして、そこから導き出した仮説を基に、次の戦略を立てる。例えば、今は「寿司」「焼肉」が強いですが、インバウンド市場で次に求められるものは何か、常にアンテナを張っています。
編集部:
最後に、この記事を読んでいる他の経営者の方々へメッセージをお願いします。
最後に、この記事を読んでいる他の経営者の方々へメッセージをお願いします。
立壁様:
もし今、集客に伸び悩んでいるなら、一度「誰に、何を届けたいのか」を徹底的に考え、そして「振り切る」覚悟を持つことが重要かもしれません。そして、どんな派手な戦略よりも、お客様の期待を裏切らない「当たり前の品質」こそが、一番の近道だとお伝えしたいですね。
もし今、集客に伸び悩んでいるなら、一度「誰に、何を届けたいのか」を徹底的に考え、そして「振り切る」覚悟を持つことが重要かもしれません。そして、どんな派手な戦略よりも、お客様の期待を裏切らない「当たり前の品質」こそが、一番の近道だとお伝えしたいですね。
編集部:
「振り切る」覚悟と、「当たり前」の徹底。その両輪が、今の成功を支えているんですね。今日は本当に勉強になりました!ありがとうございました!
「振り切る」覚悟と、「当たり前」の徹底。その両輪が、今の成功を支えているんですね。今日は本当に勉強になりました!ありがとうございました!
取材後記
月の売上が5倍に跳ね上がったという衝撃的な数字。その裏には、「インバウンドに振り切る」という大胆かつ的確な経営判断があった。しかし、立壁(たちかべ)様のお話でより印象的だったのは、「当たり前のことを徹底する」という、シンプルだが重い言葉だ。
派手な奇策に走るのではなく、料理の温度、提供スピード、心ある接客といった飲食店の本質を突き詰め、それを揺るぎない土台とすること。そして、その価値を「口コミ」という現代の強力な武器に変えていく戦略。この地に足のついた経営哲学こそ、新宿という世界有数の激戦区で勝ち続ける最大の理由なのだろう。多くの経営者にとって、勇気と具体的なヒントに満ちた取材だった。
北海寿司と天ぷら すし山 新宿本店
住所:東京都新宿区新宿(※詳細住所は公式サイト等でご確認ください)
TEL:店舗にお問い合わせください
公式サイト:https://suhiyama-shinjyuku.com/store/
和牛焼肉やくにく 徹 新宿本店
住所:東京都新宿区新宿(※詳細住所は公式サイト等でご確認ください)
TEL:店舗にお問い合わせください